東方二次創作1
2010/1/20 22:23
「幻想郷は女が多すぎやしないか?」
湯飲みを置いて、魔理沙が切り出した。
七輪であぶった煎餅を皿に取り、刷毛で砂糖醤油を塗って網に載せる。
香ばしいにおいが縁側を包んだ。
「そうでもないでしょ」
きつね色になったところを裏表にひっくり返し、また醤油を塗る。
乾いたらもう一回ずつ繰り返して、皿に取る。
「村の方には男の人も結構いるじゃない」
少し間をおいた後、魔理沙は指先で半分に割って、片割れを口にくわえた。
「そうじゃなくてな。たとえば、私だ」
親指で自分の胸を指す。
くわえた煎餅が上下に動き、声はくぐもっていて聞きづらい。
「女である意味がわからない」
言ってバリバリと噛み砕いた。
「そうね」
かごに入った塩もついてない煎餅を一枚取って、軽く醤油を塗る。
七輪には載せずに、擦った胡椒を振って半分に割る。
「わたしにはあんたの言っていることの意味がわからないわ」
おいしい。
魔理沙は手をつけない。
「まあ聞けよ。私は魔法使いだ」
お茶をすする。
胡椒と煎茶が口の上で混じりあって、的確に味覚を刺激していき、わたしはお茶を飲むのを止めた。
「そうかもしれないわね」
皿に置かれた醤油煎餅の半分をつまんで、一気に噛み砕く。
口の中を怪我しそうだ。
「そして、魔法使いという言葉自体には性別は含まれていないだろ」
湯飲みをぐっとあおって勢いよく縁側に置いた。
半分に割った胡椒煎餅の残りを食べる。
「つまり、女の魔法使いがいるなら男の魔法使いもいるはずだぜ」
私は七輪の炭を裏に捨て、魔理沙を家に帰らせた。
No. 1 — 2010/1/22 03:05
続きに期待してしまうんだが?