東方二次創作1

「幻想郷は女が多すぎやしないか?」
 湯飲みを置いて、魔理沙が切り出した。
 七輪であぶった煎餅を皿に取り、刷毛で砂糖醤油を塗って網に載せる。
 香ばしいにおいが縁側を包んだ。
「そうでもないでしょ」
 きつね色になったところを裏表にひっくり返し、また醤油を塗る。
 乾いたらもう一回ずつ繰り返して、皿に取る。
「村の方には男の人も結構いるじゃない」
 少し間をおいた後、魔理沙は指先で半分に割って、片割れを口にくわえた。
「そうじゃなくてな。たとえば、私だ」
 親指で自分の胸を指す。
 くわえた煎餅が上下に動き、声はくぐもっていて聞きづらい。
「女である意味がわからない」
 言ってバリバリと噛み砕いた。
「そうね」
 かごに入った塩もついてない煎餅を一枚取って、軽く醤油を塗る。
 七輪には載せずに、擦った胡椒を振って半分に割る。
「わたしにはあんたの言っていることの意味がわからないわ」
 おいしい。
 魔理沙は手をつけない。
「まあ聞けよ。私は魔法使いだ」
 お茶をすする。
 胡椒と煎茶が口の上で混じりあって、的確に味覚を刺激していき、わたしはお茶を飲むのを止めた。
「そうかもしれないわね」
 皿に置かれた醤油煎餅の半分をつまんで、一気に噛み砕く。
 口の中を怪我しそうだ。
「そして、魔法使いという言葉自体には性別は含まれていないだろ」
 湯飲みをぐっとあおって勢いよく縁側に置いた。
 半分に割った胡椒煎餅の残りを食べる。
「つまり、女の魔法使いがいるなら男の魔法使いもいるはずだぜ」
 私は七輪の炭を裏に捨て、魔理沙を家に帰らせた。

One Response to “東方二次創作1”

  1. erialunna writes:

    続きに期待してしまうんだが?