遭難する準備

この前、低山で遭難する痛ましい事故があった。
家族で登山するに当たって、いろいろ調べたのでメモっておきたい。

人がたくさんいても、低山でも高山でも、道がわからなくなることはあり得る。
または、天候が崩れて雨が降り、道が川になって進むことができないこともある。

どんな山でも予定を超過して数日間山にいることになる可能性を考えておく。
準備が必要だ。

前日までにしておくこと

  • 山岳保険
  • 保険証のコピー
  • スマホ充電
  • モバイルバッテリー充電
  • 充電ケーブル
  • ヘッドライト
  • 予備電池
  • スマホ地形図
  • 地形図
  • コンパス
  • 登山計画書

捜索救難の費用は数百万になる。今ならWebからすぐに申し込みができ、数百円で即日保険適用になる。
保険に入っていれば助けを求めるのに躊躇はいらない。

電子機器の充電は命を分ける。電波がない場合急速に消耗するため、登山道に入る前に機内モードにすること。
日帰りでもヘッドライト、予備電池、地形図とコンパスは必携。

事前の地図読みを行い、迷いやすそうなポイント、周囲の風景についてアタリをつけておく。
同伴者の中で一番体力がなく、歩くのが遅い人間に合わせてコースタイムを考えておくこと。

登山計画書は登山道口のポストと控えの自分用のものを持つこと。

怪我の応急処置をできるようにしておく

ファーストエイドキットの準備をする。
専用のケースは不要。ジップロックに入れておく。ザックからすぐに取り出せる雨蓋に入れておく。

想定する怪我は、靴擦れ、転倒、捻挫、脱臼などから落石による外傷までを対象にしている。
また、心肺蘇生用品は自分たちには使わないかもしれないが持っておく。

どうせ専門知識はないのだから、その場で本を読んで書いてあることをしておく程度にとどめる。

  • 滅菌ガーゼ・多め
  • 伸縮包帯
  • 粘着包帯・2本以上
  • 三角巾・大
  • バンドエイド・キズパワーパッド特大
  • CPR用キット
  • サムスプリント
  • 防水フィルム
  • 消毒液・真水
  • 薄手のゴム手袋
  • レスキューハンドブック

搬送用品を準備する

怪我以外でも、子供がぐずったときに背負うのに使う。
また、滑落の可能性のある場所での確保に利用する。

  • 16mm ナイロン スリング 120cm 2本
  • オートロック HMSカラビナ 2個

ビバーク

進めそうにないときは休むに限る。

歩きながらビバーク可能な場所を探しておく。
登山道脇の平地などは排泄物がある可能性もあるので気をつける。

基準

強い雨、強い風、濃霧の場合、登山開始前にわかるなら中止する。
登っている途中に強くなってきたら、山小屋に避難するかビバークを行う準備をする。
とにかく、天候が崩れそうであればビバークを検討。
遭難に気づいたときもビバークを検討する。

ビバークのあと

ビバークする場所を見つけたら、生命維持のための優先順位を考える。

  1. 体温の確保  :低温・高温が改善されない場合、人間は3時間で死ぬ。
  2. 救助される準備:目印となるものの近くから離れない。
  3. 水の確保   :水分をとれないと、人間は3日で死ぬ。
  4. 食糧の確保  :何も食べないと、人間は3週間で死ぬ。

体温の確保

上部に遮蔽物を作り、雨と風、直射日光を防ぐ。
また、地面に対しても熱を遮断する遮蔽物を作り、冷えを防ぐ。

  • ツェルト
  • 細引き・ペグ8本
  • トレッキングポール
  • レインウェア
  • 保温シート
  • 機能下着・ミドルレイヤー
  • バーナー・クッカー
  • ファイアスターター
  • ナイフ
  • 着火材

レインウェアを持ってきていないなら、死を覚悟すること。

ツェルトを張る練習は事前にしておく。
ペグが刺さらなくても、細引きでクローブヒッチが作れれば木にくくりつけて自立させられる。
トレッキングポールも必須ではないが、あった方がいい。
保温シート、機能下着やミドルレイヤーは体温保持に役立つ。夏場でも夜の山は寒くなるのでフリースなどは持った方が良い。

バーナーやクッカーがあればツェルト内の温度上昇に使える上に、水を沸かすなどで体内に熱源を取り込める。
また、水場などで汲んだ水も煮沸できるために安全性が高い。

山火事に気をつける必要はあるが焚火も有効。体温維持に繋がる。
危急の場合、国立公園内での焚火は罪に問われない。
雨天ではマッチは使えないため、メタルマッチのようなものがあるとよい。
ナイフがあればフェザースティックを作ることで着火材は不要となる。

救助される準備

電波が繋がるならば、警察(110番)に電話することで捜索を開始できる。消防(119番)は警察の後に電話しよう。家族に電話するのも気持ちはわかるが意味がない。繋がるなら警察に電話。

電話した場合、その場から動かないこと。
三角法により携帯端末の位置が警察に通知されている。
動かなければ確実にそこに警察はくる。

電波が届かないなら山を登って高い場所に移動することもアリだが、二次遭難の可能性もあるため夜間には実施しないこと。
また、全員が一緒に動いた方がよい。
動けない人間が一人でもいるなら難しい判断だがやめた方がいいだろう。

三角形の頂天に置かれた光源などはSOSのサインとなる。点滅する光などもよい。鏡による反射光もよいが、小さな鏡では遠くのヘリに反射光を狙って飛ばすことは難しい。(シグナルミラーという専用の鏡があるぐらい)

矢印や目印を作り、空から探しやすくしておく。

ホイッスルは大声を出すより体力を消耗せず、しかも気づかれやすい。
一人一個持つことで滑落しても場所がわかりやすくなる。

  • LEDライトなど光源
  • ホイッスル

水の確保

水筒に水を持ってきているはずなので、計画的に少しずつ飲む。目安は一度につき一口。2時間ごとに飲むなど決めると良い。
予備の水は用意した方が良い。また、携帯用の濾過装置や消毒タブレットを利用する。

登山中に必要な水分量は自重(体重+ザック)×行動時間×5mlである。
これに予備のペットボトルなどを持っていると良い。動かなければ水分は消耗しない。

足りないようであれば、雨水を保温シートを使って集めたり、朝露がついた藪でタオルを振り回して吸水し搾って飲むなどがある。
沢や水場があるならば煮沸することで飲めるかもしれないが、綺麗だとしても煮沸や濾過もせずに直接飲むのは最後の手段と考える。
上流に山小屋があったり、動物の排泄物がある場合は、激しい腹痛などで余計に水分を放出してしまう。

だが、日本の場合、捜索救難されてさえいれば3日以上さまようことにはならないと思われる。

  • 水筒
  • 予備の水
  • 濾過装置・消毒タブレット
  • 吸水性の高いタオル

食糧の確保

軽量の行動食を持つ。カロリーメイト、海難事故向けの救難食料(ER5とか)、アミノ酸タブレットなど。

計画的に食べる必要はあるが、無理に食べずにいるよりかは普通に食べた方が気力が持つ。
特に子供がいるような場合には。

まとめ

低山でもナメないで準備する。
入念に準備した上で現地入りし、天気が悪いようならきっぱり中止する。

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